ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『眠れる竜ラヴァンス』その2

「劣化版ソーサリー」、『眠れる竜ラヴァンス』に対し、このような感想を抱くゲームブックファンも多いかもしれません。S・ジャクソンの手による「ソーサリー」シリーズは、言わずと知れたゲームブックの金字塔。その作品と『眠れる竜ラヴァンス』には、展開、ゲームシステムなど酷似している点がかなりあったのです。

しかしながら発売当時小学生だった私は、そうした事実を知りませんでした。というのも、海外翻訳物のゲームブックはなんだか難しそうという理由で敬遠しており、もっぱら日本人作家の作品を優先的に遊んでいた私は、「ソーサリー」シリーズに手をつけていなかったんですね。そのため日本人作家の手による『眠れる竜ラヴァンス』を、新鮮な驚きと興奮をもって、楽しむことができたわけです。
皮肉なことに、ゲームブックの最高峰とうたわれる本家作品ではなく、その影響を色濃く受けた、もっと露骨に言えば模倣した作品によって、私はゲームブックのさらなる虜となったのでした。

「ソーサリー」ファンの方が、『眠れる竜ラヴァンス』に対して物足りなさや、ある種の不快感を覚えるのはとてもよく理解できます。けれども私にとっては、「ソーサリー」とは比べ物にならないほど、『眠れる竜ラヴァンス』には思い入れがあるのです。「ソーサリー」にはない魅力もたくさんありますしね。
 

★参考情報
『ドラゴンソング・レジェンド〈1〉眠れる竜ラヴァンス』
(創元推理文庫)
著/滝日省三 (文庫 - 1988/6)
アマゾンの中古最低価格 125円(2012年4月17日現在)