ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『失われた体』

1987年に早川書房から発売され、
今月13日に新紀元社から復刊されたゲームブック
『失われた体 (ゲームブック 魔法使いディノン1)』を遊んでみました。
本作はもともと創土社で復刊予定だったはずですが、
版元が変更になったんですね。

〔内容紹介〕
「君と私の体を交換すれば、私は呪縛から逃れることができるのだ」魔法使いはそう言って、君の体を奪い、何処かへ消えた。その日から君は魔法使いディノンとして生きることになった。君は奪われた自分の体を取り戻し、君に魔法をかけた男の野望を打ち砕かなければならない。魔法の奥義を習得し、数々の謎を突破せよ!重厚な幻想世界と練りこまれたゲームシステムが融合。21世紀の現世に降り立つ、新感覚ゲームブック!

本書の主人公は、危険予知能力に似た不思議な力をもっており、
物語の中でしばしばその力を発揮するシーンが出てきます。
ただ予知能力といっても、
「消えたランプを縛り付ける黒い鎖」や、
「まんまるな石」などといった、
よくわからないイメージが浮かびあがるだけ。
プレイヤーである読者は、「メノン」と呼ばれる魔法の奥義書に書かれたヒントを頼りに、そのあらわれたイメージが何を意味するのか探り、次の行動を選ぶというわけです。
これが奥深くておもしろい。。
著者の方もあとがきで、「本書では戦闘よりも“謎”を重視しました」と述べています。

さて、これまで創土社などで復刊されてきたゲームブックに比べると、
本作の知名度はやや劣るような気がします。
(「そんなことねーよ」とツッコミを受けるかもしれませんが……)
実は私もこの作品、記憶にありませんでした。
なので復刊を知った時、「なぜ、この作品を?」と少なからず驚いたものです。
ですが今回読んでみて、独特のシステムや練られた世界観に接し、
なるほど熱狂的なファンがいるのもうなずけると得心したしだいです。
ゲームブックファン」を名乗るなら、押さえておくべき一冊かと。


★参考情報
『失われた体 (ゲームブック 魔法使いディノン1)』
出版社:新紀元社
著:門倉直人
イラスト:佐藤道明
初版発行:2014年9月
本体価格:1450円(税別)