ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『吸血鬼の洞窟』

懐かしのゲームブック、本日は『吸血鬼の洞窟』。
本作は「Golden Dragon」シリーズの1巻目にあたります。「Golden Dragon」シリーズは、デイヴ・モーリスとオリバー・ジョンソンが執筆したゲームブック・シリーズ(全6巻)。wikipediaによると、日本では英国と同じ順番ではなく、難易度の低い順から刊行されていったそうです。
子供時代にこのシリーズの作品を何冊か遊んだことはありますが、本作は未プレイ。最近初めて読みました。
なおモーリスとジョンソンは、「ブラッド・ソード」シリーズの著者でもあります。


〔本あらすじ〕
ウィストレンの森の奥深く、ひっそりとしたたたずまいの屋敷の地下には吸血鬼テネブロン卿が住んでいるという。テネブロン卿はたいへんな値打ちのある財宝を隠し持っているといううわさだが、その財宝は卿自身と、手下の魔物たちや、卿の手にかかってどれいにされた仲間の冒険者たちの手で、厳重に守られているという。あなたは吸血鬼を倒せるか。

以下、ネタバレもあり。
シリーズ1作目とあって確かに難易度は低め。F・Fの世界を戦い抜いてきた勇者の方々なら、余裕でクリアできてしまうでしょう。
私も何度かプレイしましたが、体力ポイントがゼロになることはほとんどありませんでした。その代わり、一発死が多い印象。最初のプレイでは、宝箱開封に失敗して自分の首を剣で切ってしまいゲームオーバー。2回目は、ガイコツたちの演奏に聴きほれて動けなくなりゲームオーバー。そんな感じです。

私が好きな敵キャラ(?)は、不思議なチェスで勝負を挑んでくる老人。いかめしい顔つきをしているのですが、自分が勝負に勝つと嬉しそうにする姿がかわいらしです。負けても、素直にご褒美くれるし。

やや面食らったのは、ラスボスである吸血鬼テネブロン卿との戦い。
正攻法で戦ってももちろんいいのですが、最適解は「逃げる」という選択肢。なんか知らんうちに勝手に死んでくれます。
ラスボス相手に「逃げる」が有効というゲーム、古今東西あっただろうか。斬新だなっ。


★参考情報
『吸血鬼の洞窟』(東京創元社
著/デイヴ・モーリス
初版発行/1986年3月
アマゾンの中古最低価格 270円(2015年9月4日現在)

『銀魂』で

自分の話で恐縮です。
amazonで販売している拙著『ゲームブック ある剣士の物語』が、現在「通常1〜3週間以内に発送します」状態になっています。委託先の密林社にはまだ在庫があるので、おそらく9月上旬には販売が再開されるかと。よろしくお願いいたします。

さて、amazonでは今週水曜から木曜にかけて7冊ほど売れ、残り1冊が金曜に売れました。そんなに一気にはけることが少ないので、なんでかなーと思っていたのですが、どうやら今週放送されたアニメ『銀魂』でゲームブックネタがあったよう。その影響なんですかね。確定はできませんが。だとしたらテレビの影響力って、なんだかんだ言ってまだあるのかなと感じたしだい。
ちなみにその話(「何もねぇよ夏 2013」)、コミックでは『銀魂』52巻に収録されているようです。
過去記事「週刊少年ジャンプ」(2013年9月24日)

ドラえもん』にもゲームブックを題材にした話があるので、テレビアニメでまたやってくれるといいな。
過去記事2012年5月1日「火竜の秘宝」

『トカゲ王の島』

懐かしのゲームブック、今日は「ファイティング・ファンタジー」シリーズから『トカゲ王の島』。
著者はイアン・リビングストン大先生。

〔あらすじ〕
火山島に住む恐ろしいトカゲ男たちの軍隊に連れ去られたオイスターベイの若者たち。奴隷にされた彼らは飢えと死の恐怖にさらされている。彼らを支配するのは黒魔術とブードゥー魔術を駆使する危険なトカゲ王だ。苦しんでいる囚人たちを救い出せるのは君だけだ。
君にはこの危険にみちた使命に挑戦する勇気があるか!


表紙にいるトカゲ男がラスボスのトカゲ王。こいつの頭に注目。頭にカニの足のようなものが生えていますが、これは残忍で邪悪な寄生生物「ゴンチョン」のもの。トカゲ王は自身の頭にこのゴンチョンを寄生させることで並外れた力を手に入れ、島における絶対的な権力を保持しているわけです。
このゴンチョンの秘密をある人物から聞き出せるか否かが、クリアのカギとなっています。

さて本作は、島に君臨する敵のボスを倒しにいくという超王道のストーリー。ゲームブックとしてもひねくれた構造ではなく、だいたい2つの分岐と集約をくりかえすオーソドックスな造り。他のFF作品にくらべて冒険自体の難易度は低めで(敵は結構強いけど)、丁寧にヒントやアイテムを拾っていくことで冒険を有利に進めることができます。
プレイ後、強くインパクトの残る作品ではありませんが、数回は楽しく遊べる良作ではないでしょうか。

造りこんだシステムやストーリーのゲームブックももちろんいいのですが、こういった単純ながらも楽しめるゲームブックも、私は気楽に読めて大好きです。


★参考情報
『トカゲ王の島』(社会思想社
著/イアン・リビングストン
初版発行/1985年12月
アマゾンの中古最低価格 200円(2015年8月26日現在)

『Lifeline...』

最近人気のゲームブック風アプリゲーム『Lifeline...』をプレイしてみました(有料)。
海外で誕生したゲームですが、日本語版にも対応しています(Androidは現在日本語訳未対応)。

物語は、主人公(女性)であるプレイヤーが、ある惑星に墜落した宇宙船の乗組員(男子学生)より、メッセージを受け取るところから始まります。パニックにおちいっている乗組員を落ち着かせ、救出すべくナビゲートするのがプレイヤーの役目です。
ゲーム内にイラストはいっさい出てきません。乗組員からのメッセージがたんたんと表示されるのみ。時々2つの選択肢が出てくるので、プレイヤーはそのどちらかを選びます。たとえば、こんな風に。

学生ハンドブックには墜落したときの仕方なんて書いてなかったよ。
・わかったわ。落ち着いて。
・もっと気楽に行きましょうよ。

僕は…もう無理かもしれない。みんな死んでしまったんだ。乗組員全員が…僕は…
・残念だったわね…
・前に進むしかないわ。

食べ物は手に入れたことだし、これから研究室の様子を見に行くか、それとも今晩寝る場所について考えるか。どう思う?
・研究室へ行ってみたら?
・寝る場所について考えたら?

本作の特徴は、ふつうのゲームブックのようにプレイヤーの都合で読み進めることができない点にあります。乗組員からの通信が一気にくることもあれば、次の通信まで数十分、もしくは数時間待たねばならない場合もあるというわけ。このシステムが、実際に乗組員と連絡を取り合っているような臨場感をもたらしてくれます。
ただ、本筋はほぼ一本道で、どちらの選択肢を選んでも、乗組員のメッセージが少し変わるだけでストーリーが変わらない箇所も多いです。そのためゲームとしては物足りないと感じる方もいるかもしれませんが、どきどきはらはらのSF小説という点ではものすごく楽しめました。お試しあれ。

こちらのブログの方が、詳しい紹介をなされています。
惑星からの脱出!トークゲームアプリ【LIFELLINE...】の感想・レビュー/iPhoneシミュレーションアプリハック

『覇邪の封印』

懐かしのゲームブック、今日は「ファミコン冒険ゲームブック」から『覇邪の封印―バァンドゥラの魔獣』。
原作はパソコン、ファミコンセガマークIIIなどで発売されたロールプレイングゲームです。


〔あらすじ〕
伝説の勇者・イアソンによって封印されていたバァンドゥラの通路が開かれてしまった!異次元に続くこの通路は、次々と凶暴な魔獣たちを吐きだしてくる。平和だったアルカス公国も異次元獣に攻撃され、今や壊滅寸前。この国を救う、たったひとつの方法は、異次元獣たちに奪われた“覇邪の封印”をとりもどすことだ。俺・アーガスと3人の仲間は、アルカシア王の命を受けて旅立った。

分岐はあるのですが、同じ所をぐるぐる回ることも多く、ルートもほぼ一本道。「ファミコン冒険ゲームブック」シリーズによくありがちな構造です。
とくに印象に残る作品ではないのですが、小学生の頃、全裸のボス「テラリン(女性の姿をした魔獣)」の挿絵にどきどきした記憶が……。大人になってから古本を買い直したのも、その挿絵を確認するためだったりします。けど、やや記憶違い。泡に包まれた女性と記憶していたのですが、泡ではなくウロコ(?)でした。子供の頃の記憶なんてそんなもんですよね。

さて、ゲームブックファンの間ではよく、「ファミコン冒険ゲームブック」は粗製濫造の代名詞的存在としてやり玉にあがります。すなわち「ゲームブック衰退」の要因を作った存在であると。そういった面も確かにあったかもしれませんが、テレビゲームを持っていなかった少年少女に、ゲームの追体験を味あわせてあげたという意味では、貴重な存在だったと思います。

★参考情報
『覇邪の封印―バァンドゥラの魔獣』(双葉社
著/上原尚子
初版発行/1988年3月
アマゾンの中古最低価格 1,000円(2015年8月16日現在)

秋の文フリ

ゲームブック温故屋」のイベント出店予定です。

「第二十一回文学フリマ東京」(11月23日〔月祝〕)

新作はありませんが、参加することにしました。
ぜひブースまで遊びにきてください。
また近づきましたら、このブログにて告知いたします。
よろしくお願いいたします。

ゲームブック温故屋
水本シズオ

『むちゃのねこ丸ゲームブック あくま島のドドンガ大まおう』

懐かしのゲームブック、今日は『むちゃのねこ丸ゲームブック あくま島のドドンガ大まおう』。
最近古本で入手したゲームブックです。
子供時代は未プレイ。


あらすじ
ながいながいねむりからめざめたあくま島のドドンガ大まおう。このままでは、せかいのはめつだ!ドドンガ大まおうをたおす3つのじゅもんを、てにいれてせかいのききを、すくおう。小学1〜2年むき。

プレイヤーは絵探し・めいろ・間違い探し・パズルなどを解きながら、ドドンガの待つあくま島を目指します。
小学1〜2年生向けとなっていますが、なかなか手の込んだつくりで楽しめました。
ただ、けっこう運の要素も強く、理不尽なゲームオーバーもあるので、イラッときた少年少女も少なくないかもしれません。

「むちゃのねこ丸」シリーズは、かつてポプラ社から発売されていた児童向けゲームブック
ポプラ社の児童向けゲームブックとしては「にゃんたん」シリーズが有名ですが、この「むちゃのねこ丸」シリーズも同時期(80年代後半から90年代)に発行され、人気を博しました。ゲームブック世代ど真ん中の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、現在30歳前後の方には懐かしく感じられる方も多いと思います。
私は今回初めてプレーしたのですが、意外にいい出来だったので、同シリーズの他作品もちょっと読みたくなっています。

現在、この年代に向けたゲームブックは皆無ですが(まあ新作ゲームブックの発売自体めずらしいんですが)、それなりに需要あると思うんですけどね。


★参考情報
『むちゃのねこ丸ゲームブック あくま島のドドンガ大まおう』(ポプラ社
さく・え/田森庸介
初版発行/1992年4月
アマゾンの中古最低価格 50円(2015年8月8日現在)