書泉グランデ
神保町にある書店「書泉グランデ」には、鉄道・アイドル・格闘技・ミリタリーなど、趣味人に向けた専門性の高い書籍がたくさんそろっています。そしてそして、この書店にはいまどき珍しく、ゲームブックのコーナ―があるのです。ありがたし。
『ソーサリー』や『ドルアーガ』シリーズが置かれているのは当然のこととして、『永劫選択』や『勇者と魔神 〜武器と防具は文房具〜』といった知る人ぞ知るゲームブックまで平積みで何冊も置かれている陳列棚は光り輝いて見えます、おお、まぶしい。
でも先日(数週間前だけど)寄ったとき、『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』は置かれてなかったんですよね。漫画コーナーにもなかったし。
『七つの大罪』その2
今日も前回に引き続き、『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』について。
先月発売になった新刊ゲームブックです。
本作は一応、漫画『七つの大罪』を知らなくても楽しく遊べる本にはなっています。ですが、ある程度知っていたほうが絶対おもしろい。読んだことない方は、事前に1巻だけでも購入して読んでおくのがおススメです、私もそうしました。ゲームブック版の中に出てくるちょっとした描写がマンガと重なってより楽しめます。
それにしても今回の『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』の発売は、ゲームブック業界にとって大きな慶事と言ってもいいのではないでしょうか。若い世代に人気の漫画がゲームブック化されたことで、新しい世代にゲームブックの存在がわずかながらでも知られるようになればいいなあ。
もちろん「焼け石に水」的なシニカルな意見を持つ方もいるでしょうが、それでも私は本書の発売が本当に嬉しかった。売れてくれるといいなあ、ほんとに。
★参考情報
『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』
出版社:講談社
著:藤浪智之
原作・イラスト:鈴木央
初版発行:2015年6月
本体価格:700円(税別)
『七つの大罪』その1
今回のゲームブックは、『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』。
先月の発売日に購入しました。
原作は、人気少年漫画『七つの大罪』。
それにしても、この時代にゲームブック化しようとは。
講談社の企画通した人、えらい!
漫画の作者・鈴木央さん(1977年生まれ)が、ゲームブック世代だったことも関係あるのでしょうかね。
〔あらすじ〕(amazonの内容紹介より。脱字もそのまま)
キミはこのブリタニア、リオネス王国の辺境に住む冒険者だ。故郷の村と、大切な救うため、この〈迷いの森〉へやってきた。
この森は恐ろしい魔法がかかっており、迷い込んだら最後、永久に彷徨うことになると言われている……。しかし正しき道を見つけて森の奥へ達すれば、あらゆる願いが叶う〈秘宝〉が手に入る、と言われていた。
しかしあの大逆賊〈七つの大罪〉も、この森の〈秘宝〉を狙っているという……。なんとしても彼らより〈秘宝〉を手に入れなければならない! そしてキミがねじくれた樹々のからまる暗く不気味な森に足を踏み入れた時から、冒険は始まった!
原作者鈴木央の描き下ろしイラスト満載! ワクワクする冒険を手に入れよう!!
小説にて完全再現!
サイコロは不要ですが、冒険記録用紙に記入するための筆記具は必要。
ゲームブックとしては、分岐はやや少な目でストーリー重視。地図に描かれた移動先にパラグラフ番号が記されていて(藤浪さんのゲームブックでよくある形式)、しらみつぶしにしていけば、意外とに簡単に「GOOD END」にたどりつけます。ただ、「真なる結末」にたどりつくには、いくつかあるイラストの謎解きを解読しなければなりません。私は2度ほどゲームオーバーになったあと「GOOD END」にたどりつきましたが、7つの「大罪の印」のうち「怠惰の印」を手に入れることができず、「真なる結末」までは行けませんでした。
その後なんとか力技で完全クリアしましたが、結局謎が1つとけないままです。キングの槍の謎……。
さて、この本のメインとなる対象読者は、
・漫画『七つの大罪』のファンだけど、ゲームブック自体は初プレー
という方だと思うのですが、それを考えると、バランス良く作られている印象を受けました。実際にこうした方々が、このゲームブックを遊んでどのような感想をもったか気になるところです。
あと、ところどころに「おお、うまい」と思わせる仕掛けもあるので、コアなゲームブックファンの方もプレーする価値はありです。詳しいネタバレは避けますが、死(ゲームオーバー)が無駄にならないアイディアは「なるほど」とうなりました。
次回にちょっと続きます。
★参考情報
『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』
出版社:講談社
著:藤浪智之
原作・イラスト:鈴木央
初版発行:2015年6月
本体価格:700円(税別)
Deathtrap Dungeonのカバー
右の画像と左の画像、全然テイストが違いますが、元はどちらも同じゲームブック(原題『Deathtrap Dungeon』)です。
左の画像は1985年に社会思想社より出版されたものでカバーイラストはオリジナル版と同じ、右の画像は2008年にホビージャパンより出版されたものでカバーイラストは新たに書き起こされたもの。
さて、なぜゲームブックファンにとって今さらな話題を持ち出したかというと、著者のイアン・リビングストンさんがご自身のツイッターに画像をあげて紹介していたから。
海外のゲームブックファンの方にはけっこう衝撃だったようです。
日本がまた誤解される(笑)
リビングストンさん、やっぱり元の表紙がお気に入りみたいですね。
まあ、そりゃそーだ。
ホビージャパンの萌え絵(?)によるゲームブック復刻(数冊で頓挫しましたが)は、日本のゲームブックファンの間でも賛否あったようです。
私個人としては、チャレンジ精神あふれる試みだったと好意的にとらえています。
遊戯書籍研究会さんのゲームブック
日本や世界のゲームブック作成ツールを、とてもわかりやすく解説している「ゲームブック作成」ブログの管理者の方が、ご自身でも「遊戯書籍研究会」の筆名で短編ゲームブックを作成されていました。
kindle版のみですが、『ゲームブック 未来をかえる宝物 』『ゲームブック 【Re:Love Letter】』の2点がamazonで無料ダウンロードできるようになっています。私はkindleをもっていないのですが、ブログで『ゲームブック 未来をかえる宝物 』のPDFが公開されていたのでそちらをプレイ。
80年代後半の小学生たちの日常を描いたゲームブックで、堂々と「懐古」をテーマにうたっているだけあり、ゲームブック世代にはドンピシャな用語が次々登場してきます。「ドラクエ2」「忍者ハットリくん」「風雲たけし城」「ミニ四駆」「チョロQ」「ビックリマン」「グラディウス」……、おお、もう、懐かしさで涙が。
追記
『ゲームブック 【Re:Love Letter】』のほうも、ゲームブック投稿サイト「GameBook.xyz」で読めるようです。
「GameBook.xyz」はこちらから