ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

ゲームブックの今(前編)

 1980年代後半から1990年代にかけて出版された数多くのゲームブックは、現在、ほぼすべて絶版となっています。アマゾンなどを利用して中古で手に入れることは可能ですが、気軽に買いそろえられる状況ではありません。しかしながら21世紀になり、創土社をはじめとしたいくつかの出版社が、過去の名作ゲームブックを復刊してくれています。商売的な旨みはほとんどないにもかかわらず……。こうした出版社や熱意ある編集者さんが、ゲームブック文化消滅の危機を救ってくれているのですね。有り難いことです。また、新作も年間数冊(1〜3冊程度?)ながら出版されています。残念ながらあまり話題になることはありませんが……。
 どちらかと言うと私のゲームブック収集は懐古趣味に近く、復刊ではない完全な新作ゲームブックを遊ぶことは少ないのですが、それでも気になる新作は何冊か購入しています。去年発売され私が購入した新作ゲームブックは、『モービィ・リップからの脱出』(フーゴ・ハル著/新紀元社・刊/初版2010年8月)と、『バニラのお菓子配達便!』(藤浪智之・著/富士見書房・刊/初版2010年11月)の2冊(写真参照)。少し感想を書いてみます。

 まず『モービィ・リップからの脱出』から。本書説明によるとこの本は、「ゲームブック」ではなく「ブックゲーム(本の形をしたゲーム)」とのこと。クリアまでの過程を重視した、“ゲーム性”の高い作品となっています。通常のゲームブックと違ったので最初は少しとまどいましたが、すぐに慣れ、楽しめました。“ゲーム性”を重視しながらも、鉛筆やサイコロを必要としない手軽に遊べるシステムが斬新です。

 次に『バニラのお菓子配達便!』。こちらは小学生の女の子をメインターゲットとしたゲームブック。サイコロではなく、トランプを使用するあたりに工夫が感じられました。たしかに今は、サイコロを常備している家庭は少ない気がします。あとこれが重要なのですが、子供向けにもかかわらず、ゲームブックとしてすごくよくできているんです。大人でも楽しめちゃいますよ。ほんと。720円という低価格もポイント高し。

つづく

※上の画像は間違ってアップしたものです。こっちが正解です、すみません!