『あなたクエスト』

今月５日に発売されたゲームブック
『あなたクエスト 世界とあなたを結ぶゲームブック』を遊んでみました。

〔内容紹介〕
これはゲームブックです。しかし単なるゲームブックではありません。現実のあなたの行動と物語がリンクする、まったく新しいRPGが体験できる本。心して遊び始めてください。あなたに必要なものは、この本を読むのに必要な環境、そして謎を解くためのちょっとしたヒラメキと、注意深く行動する慎重さです。ただし、この本に取り組んで、今日中にクリアできる人はおそらく1%もいないでしょう。でも安心してください。あなたにもクリアできる日はきっとやってきます。

本書のウリは、やはり「謎解き」部分でしょうか。
「絶対とけねーよ」ってのはなく、私にとってはちょうどよい難易度でした。
もし解けなかったとしても、パラグラフ数が少ないので力技でなんとかなるかと。
「謎」がとけず、序盤でゲームが進まなくなるってことは少ないと思います。

また、「現実のあなたの行動と物語がリンクする」点もウリになっています。
ネタバレしないように説明するのが難しいのですが、
『グレイルクエスト』や『紅蓮の騎士』でちょこっと出てきたようなことを、
たくさん要求される感じと言えばいいでしょうか。
わかります？　わかりませんかね。
ちなみに私は、いくつかの要求を無視して読み進めました。
むしろズルせずクリアした人、いるんだろうか。

さてさて、本書はゲームブックですから、もちろん随所に選択肢が出てきます。
ただそのほとんどは、「右へ進む　左へ進む」だったり、
「西へ進む　南へ進む」だったりと、進む方向を決めるだけの単純なもの。
この説明だけだとつまらなそうに思われるかもしれませんが、さにあらず。
基本的に、途中で入手する数枚の地図を見ながら遊ぶ形になるのですが、
この地図がよく工夫されていて、方向を選ぶだけの選択肢でも楽しめたんです。
私は入手した地図をコピーしてつなぎ、ヒントなどを書き込みながら遊びました。
でも、双方向型ゲームブックにつきまといがちな、ある種の作業感をおぼえる人もいるかもしれませんね。これはもう、しょうがない。

では、総括。
「面白みのある選択肢」があるわけでもないですし、
「重厚なストーリー」があるわけでもないので、
（著者の方が伝えたいメッセージは感じましたが）
ひょっとしたら、昔からのゲームブックファンの方には、
「なんだ、これ」と感じる方がいるかもしれません。
ただ、「謎解き」や「地図」の部分でおもしろい試みが見られるので、
「従来のゲームブック」ではなく、「新しいゲームブック」を遊ぶという
スタンスで挑まれると、きっと楽しめるのではないでしょうか。

★参考情報
『あなたクエスト 世界とあなたを結ぶゲームブック 』
出版社：リットーミュージック
著：千石一郎
イラスト：常盤響
初版発行：2014年9月
本体価格：1500円（税別）