ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『護国記』その2

前回続きです。
作品のネタバレありです。

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長大な作品なので、冒頭は世界観の説明などが延々と続くのかと思ったのですが、杞憂でした。序盤からはらはらする危機的状況が続き、最強クラスの強敵ともいきなりご対面。あげくに左腕がふっとぶ熱い展開です。このスピード感、いいですね!
特徴としては、危機的状況の連続なので、事前情報なく、即死が多いこと。ただ、一見、ゲームブックとしてマイナスに思えるこの特徴は、しっかりその後の展開の伏線になっています。
 
本書の「死がヒントにつながる」「タイムリープ」といったギミックは、ゲームブックではよくある手法かもしれません。しかしながら、それらがありきたりに感じない工夫を要所要所に感じました。
もしパラグラフ番号で管理していたら、タイムリープするたびに、「また同じ個所にきたのか」となってしまうところですが、パラグラフ番号で管理していないので、「あれ? さっきと同じ? いや、ちょっとちがう世界線にきてるのかな?」と、不思議な感覚を楽しめるんですよね。
 
まだプレーしつくしたわけではありませんが、ゲームブックの新たな可能性を感じた作品でした。「ゲームブックは紙でやるもの」「ワシはFFしか認めんぞ!」という方もぜひ一度、挑戦してみてください!
 
★参考情報
『護国記』(幻想迷宮書店)
著/波刀風 賢治
発売日/2018年10月21日
価格/500円
推定ページ数/2936
パラグラフ数/不明