ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『烈拳カンフー大冒険』

懐かしのゲームブック、今日は『烈拳カンフー大冒険』。
個性的な作品が多数輩出した、ゲームブック界の異端児「エキサイティング・ゲームブック・シリーズ」の15作目。
この作品は子供時代、未プレイ。それどころか、その存在を知ったのも最近。図書館で取り寄せることができたので遊んでみました。


〔あらすじ〕
君はきびしい中国拳法の修業に長い間、耐えてきたカンフー(功夫)の達人だ。鷹拳、蛇拳といった他流派の技やヌンチャク、棍などの古武術も身につけてきた。もう、寺で学ぶものは何もない。そう考えていたおり、人々から恐れられている、無法者の首領の噂を耳にした。この拳王なる人物、いまだかつてどんな武芸者にも負けたことがないという。君は体中の血が騒ぐのを感じた。一度でいいから対決してみたい。思いは日増しにつのり、ついに寺を出る決意をした。しかし拳王と対決するのは容易なことではない。拳王の本拠地・嵩山は、天然の要塞ともいえる地理条件を備えているうえ、軍隊を脱走した武装兵士や山賊一味が、門の警備にあたっている。さらに城内には、四天王と呼ばれる強者も拳王の身辺を警護しているという。果たして君は、拳王を打ち倒せるだろうか!

主人公(プレイヤー)は中国拳法の達人。無法者たちの首領・拳王を倒すべく、敵の本拠地である嵩山に乗り込むというストーリー。
ゲームブックというと「剣と魔法」「西洋風」が主流ですが、本作は中華の雰囲気が漂う異色作。目新しさもあって楽しめました(ルールが複雑だけども)。文体も読みやすく、ジャッキー・チェンのコミカルなカンフー映画を見ているような、娯楽性に富んだ作品です。

登場する敵キャラ(一部味方も)も個性的。
酔拳をきわめた老人、太極拳の天才少年、サイ(刀の一種)を装備した老婆、集団で襲いかかってくる空手十兄弟、二丁鎌を振り回す暴れん坊、青龍刀の女剣士(四天王)、三節棍をあやつる坊主(四天王)、西洋の妙技「ボクシング」の使い手(四天王)、妖術使いの老人(四天王?)などなど。琵琶をかなでる美しい拳王もキャラが立っています。

機会があれば遊んでほしいゲームブックですが、いかんせん入手は困難。本作だけでなく「エキサイティング・ゲームブック」全般に言えることですが、このシリーズの作品は中古市場で高騰しちゃってるんですよねえ……。
さて、それにしてもこんな30年も前のマイナーなゲームブック、レビュー書いてる人などいないだろうと思っていたら、古参ゲームブックサイト「冒険記録日誌」さんが、レビューどころかプレイ記録を載せてらっしゃったので楽しく拝読。こちらを読んでいただければ、だいたいの作品のイメージはつかめると思います。
冒険記録日誌/烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店)その1


★参考情報
『烈拳カンフー大冒険』(桐原書店
著/スーパー頭脳集団アイデアファクトリー
初版発行/1986年3月
アマゾンの中古最低価格 取り扱いなし(2015年9月19日現在)