ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

文フリ購入本&感想

先日の文フリで購入した本の感想を書いておきます。
今回はファンタジーを多めにしました。
どの本もおもしろかったです。


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『幻想植物ポケット図鑑』(超短編マッチ箱)
20人以上の書き手によって生み出された、様々な幻想植物にまつわる超短編集。植物のイラスト及び解説と、それに関連した300〜500字程度の物語がセットになっています。幻想植物の数は全部で26。
私のいちばん好きな幻想植物は、葉原あきよさんの「スズランラン」。解説には「一本の茎に、金色の鈴のような花が十数個並んでつき、花を振ると音が鳴り、楽しくなる」とあります。この「楽しくなる」って部分がすごく好き。スズランランの音色を聞いて踊り狂うおばあさんの物語も良かったです。

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『カエルの超短編集』(超短編マッチ箱)
カエルをモチーフにした超短編集。著者は、タカスギシンタロさんと松本楽志さん。
相変わらず想像力が刺激される超短編の数々、ああ心地よい、美しい。

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『テーマコレクション 03ファンタジー』(ねこまた会)
奥付によると、ねこまた会は「5人の文字書きたちによる会」とのこと。
本作品には、タイトルの「ファンタジー」の言葉通り、幻想的な雰囲気が漂う2つの素敵な掌編が収められています。

・「ワタリガラスのケーキ」(著・宮音詩織)
大切なお客をもてなすため、様々な場所でケーキの材料を集めるワタリガラスの子供の物語。健気でひたむきな主人公に、心の中で声援を送りながら読みました。
「です」「ます」調の文体が、安らぎを与えてくれます。

・「緑の娘と青の娘」(著・香月ひなた)
わがままな緑の娘&心優しい青の娘の姉妹が主人公。グリム童話風でいい感じだなと読み終えたら、筆者さんのあとがきにもそれを意識した旨が書いてありました。
関係ないですが、「(森に入って)道が二つに分かれている場所」という、ゲームブック者にとっておなじみのシーンが出てきてなんかおもしろかったです。

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『海に降る雪』(チャボ文庫)
海辺の小さな街を舞台にした、美しくもどこか悲しげな雰囲気が漂う9つの短編集。
よけいな雑音がない、会話と波の音だけが聞こえてくるような、とても静かで不思議な小説でした。表題作の「海に降る雪」がいちばん好み。

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『12のはなし』(りとのとり)
干支の動物たちをモチーフにした12の短編を収録。人との「つながり」をテーマにしており、ユーモアとあたたかさに包まれたほっこりする短編集でした。
小学生の交換日記形式で話が進められる「【辰】たくさん」がとくにお気に入り。

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『動く〈〜萬華鏡奇談〜〉』(百福堂)
壊れた萬華鏡(万華鏡)の鏡を巡って起こる、不可思議ファンタジー。登場人物たちのやり取りが楽しく、ほんわかした気持ちになれる物語でした。

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『箒木 第一回』(松笠書店)
ある神社の古い絵詞(これが実在のものかどうかは不明)に書かれた文章を、著者さんの解釈も一部交えて現代語訳したもの。キツネの姿をした神様が主人公。
このコピー本は原稿用紙に手書きの文字で書かれており、なるほどこういう表現方法もあるんだなと心を動かされたしだい。単に手書きのほうが楽だっただけかもしれませんが、手書きの浮世離れした感じが作品にも合っていて、なんか新鮮でした。

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『絶海遺跡プラトイム』(お〜もりのゲームブック
お〜もりさんの本格ゲームブック。項目数なんと700。
この本は、時間がたっぷりあるときに腰を据えて遊びたいと思います。味噌グラムさんの挿絵もわくわくしますね。

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『突き抜け9』(突き抜け派)
個性豊かな執筆陣による短編小説集。今回久しぶりに購入したのですが、メンバーが増加しており今回は10編の小説が収められていました。『突き抜け』はいつもそうなのですが、執筆者1人ひとりの個性がとても強く作品に反映されていて、読んでいてとても楽しいです、体力を奪われるけど。
今回は「ライトノベル」のブースに出展されていましたが、「ライトノベル」の要素あったかな??謎です。

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『お仕事インタビュー(お試し版)』(さつき屋)
世の中には様々な職種がありますが、自分の職種以外は案外わかんないものですよね。でも興味はある。
この作品は、社内システム管理をしている会社員の著者さんが、まったく違う職種の人から「一般人としてはこんなイメージなんだけど、本当のところはどうなのよ!」と話を聞き、それをまとめたもの。今回頒布されていたのは、役者・芸人の「山本ともだち」さんへのインタビュー。演劇に進んだ経緯や役作りの工夫などが語られていました。
いろんな人生があるもんですね。

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ペンネの日記』(A4しんちゃん)
5人の書き手によるエッセイ集(一部小説もあり)。
決して明るい内容ではないのに不幸自慢にならず、しかも笑えるのは書き手さんたちの力量によるものか。決して品があるわけではないのに(というかまったくない)、まるで「祈り」を聞いたかのような、まるで「遺書」を読んだかのような読後感。小川洋子さんの『人質の朗読会』を思い出しました。
どの作品もおもしろかったのですが、とくに「断らない人」(著・こだま)は、ここ最近読んだあらゆる小説・随筆を凌駕するものでした。


以上です。