ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『テニスクラブの陰謀』

懐かしのゲームブックのコーナ―。
今日は、ラブサスペンスゲームブック『テニスクラブの陰謀』。
くもん出版から出されていた女の子向けゲームブックシリーズの1冊です。
先日、図書館で発見しました。
表紙に時代を感じます。

〔内容紹介〕
ただひとりの親友、一子が殺された。凶器は、わたしのテニスラケット!!みんなわたしを疑っている。こうなったら、自分で真相をつきとめるしかない。だけど、不吉なことがつぎつぎおこって…。わたしを、そして学園をねらうのはだれ?
あなたがヒロインになれる本。

〔導入文章〕
ハ〜イ! わたし麻美。
このストーリーには、8つのENDがあるの。
うまく進めれば、100点ENDで、一子殺人事件の犯人を知ることができるわ。
でもしくじると、麻美が死んじゃったり、犯人の正体がわからずに、事件が迷宮入りしたりと、くやしい結末もあるのよ。
もし、犯人がわからない終わりかたをしたら、190ページを読んでから、もう一度、チャレンジしてみてネ。
あなたが麻美になりきって、絶対に犯人を見つけだしてね。

導入文のノリにも年代を感じますね。
さて、本書は筆記具もサイコロも不要のゲームブックです。
こうしたゲームブックの中には、時々、「これをゲームブックにする必要あるの?小説でいいじゃん」と思えるものもあるのですが、本作はそれほど多くないページ数にもかかわらず、ストーリーがしっかりしており、さらに選択肢も変化に富んでいたので、ゲームブックとして非常に楽しめました。
また、読者のミスリードを誘う描写が随所に散りばめられていたりと、結構緻密に作られていると感じました。
手にしたときの期待感がそれほど大きくなかっただけに、驚きです。
正直、子供だましのゲームブックだろうと思っていました。すみません。
192ページで、パラグラフ数は123。

なお、本作の原案は日本アニメ界及びミステリ小説界で長く活躍されてきた辻真先先生。昭和7年生まれで、すでに80歳を超えてらっしゃるんですが、まだまだ精力的に創作活動をおこなわれているごようす。
最近も、講談社ノベルスから『未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団』を出版。しかも新シリーズだとか。すごいっ。


★参考情報
『テニスクラブの陰謀』(くもん出版
原案/辻真先
文/夢かなえ
イラスト/阿部ゆたか
初版発行/1988年12月
アマゾンの中古最低価格 取扱いなし(2014年10月15日現在)