ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『サムライの剣』

懐かしのゲームブックのコーナ―。
今日はファイティング・ファンタジーシリーズの異色作『サムライの剣』。
著者は『死神の首飾り』のJ・トムスン&M・スミス。
S・ジャクソンI・リビングストンは監修として名前が載っています。

〔あらすじ〕
君は将軍指南役をつとめる若きサムライ。君の使命は、将軍のもとから奪われた名刀“鍔鳴りの太刀”を闇将軍イキルから奪い返すことだ。
だが、イキルは亡霊がうごめく鬼軽城の奥深くそれを隠した。恐るべき亡霊に守らせながら……。

本作の舞台は明らかに日本を意識した「八幡国」。
外国の方が描く「日本風」なので、突っ込みどころ満載の作品となっています。

まず、(ゲームブックファンの間では)あまりにも有名な表紙。
亡霊武士という敵キャラの旗には「悪死」の2文字が。
まがまがしい漢字を適当に2文字組み合わせたんでしょうけど、
「悪(が)死(ぬ)」で、どちらかというといい意味になっちゃってます。

システム面では、「名誉点」というステータスがあります。
この名誉点がゼロになると、強制的に「切腹」しなければなりません。
「名誉がなければ君は生きている価値がない。ただひとつだけ君にとって名誉ある行動が残されている。君は切腹すべきなのだ」
だそうです。

さて、物語のスタートは、主人公が将軍に送り出される場面から始まります。
そこで将軍が最後に一言。
「お前が成功するため、幸運をつかさどる布袋(ほてい)さまがお前に微笑むよう、わしは神に祈る」
まさかの布袋さま! 神を経由せず、直接布袋さまに祈ればいいのにね。

他にも、緊迫した場面で敵のサムライがわざわざ一礼してから斬りかかってくるなど
いろいろおもしろポイントはあるのですが、訳者の方も後書きで書いているように、
本作は「とんちんかんな所」もまとめて楽しむのが正解なんだと思います。

★参考情報
『サムライの剣』(社会思想社
著/J・トムスン、M・スミス
初版発行/1987年7月
アマゾンの中古最低価格 2,000円(2014年5月5日現在)