ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『魔宮の勇者たち』

懐かしのゲームブックのコーナー。
今日は「ドルアーガの塔 三部作」の最後『魔界の滅亡』復刊を記念して、
ドルアーガの塔 三部作」の第二部、『魔宮の勇者たち』です。

シリーズ第二部である本書には、21階から40階までの冒険が記されています。
私が印象深かったのは、25階「空中船の乗り場」の存在でした。
塔を舞台としたゲームブックでありながら、ここからは、なんと外の世界に
飛び出すことができたのです。

九五
 青銅のドアの中の奇妙な光景に、あなたは立ちすくんでしまった。迷路も隔壁も、いや、西側正面には外壁すら存在しない。バルコニーが一ブロックほどの長さで突き出しており、その先に夜空が見えている。(略)船にははしごがかけられ、そのかたわらには人だかりができている。一人のゴブリンが乗員を募っているのだ。「周辺諸国の財宝をすべて集める。略奪と殺戮が大好きなおまえらにはうってつけの仕事だ。今夜一晩働きたいやつは乗っていきな」

 サイコロの目によって行き先は様々。ノームやケンタウロスの集落だったり、
女人族の都だったり……。主人公は向かった先で、人助けをすることもあれば、
やむをえず魔物とともに集落に暮らす他種族を襲うこともあります。
そしてその後の冒険に役立つアイテムを獲得する場合もあれば、塔の外で命を
落とすこともあるのです。
 なお主人公は塔の外で活動したあと、一晩で塔の25階に戻ることになります。

「塔」という閉鎖空間を舞台にしながら、こうした「塔の外」での冒険も
楽しませてくれるとは、さすが鈴木直人といったところです。


★参考情報
『魔宮の勇者たち』(創土社
著/鈴木直人
初版発行/2008年1月
定価/1200円+税
※上記情報は復刻版のもの