ゲームブック 温故屋

水本シズオと申します。「ゲームブック」の話題が中心のブログです。

『君ならどうする 食糧問題』

私は基本的に、子どもの頃好きだったゲームブックを懐かしさから買い集めているのですが、なかには大人になってから興味をおぼえて買った中古ゲームブックもあります。
そのうちの1冊がこれ。『君ならどうする 食糧問題』(1987年発売)。



君はこの国の食糧問題担当大臣
国民の運命は君の手腕しだいだ!
君がこれからクリアしなければならない課題は現実の世界に通じるものだ。内戦、食糧暴動、腐敗した役人、お金にしか関心のない地主、それに干ばつや砂漠化、公害にも出会う。君はこれらのことすべてを解決し、国民すべてに食糧がいきわたるようにしなければならない。君自身の考え方をシミュレートしてみるリアルゲームの登場だ。
(本書あらすじより)

このゲームブックはサイコロは使わず、コインを使用します。
ちょっとやってみましょう。
(※文章はところどころ省略しています)

君は政府の大臣だ。君の権力は絶大だ。そして、仕事は、国民のみんなに十分な食料が行き渡るようにすることだ。
さて、君の国はどこにあるだろう?

まず、コインを何度か投げて、舞台となる国の設定を決めます。
今回はこんな国になりました。

君の国は湿気の多い熱帯にある。四季はなく年間平均気温は二七度くらいだ。雨量は多く年間二〇〇〇ミリに達し、それも年間平均して降る。海岸線は大洋に面していて、時々熱帯性暴風雨の被害を受ける。

暑っ!そして、雨量もすごい。
調べてみると、気候的にはマレーシアやシンガポールに近そうです。
さてここでまたコインを投げ、国の詳細を知ります。
国民の多くは簡素な暮らしぶりで、狩猟や野生の植物を採取して生活している人もいるようですが……。

国の主要な資源は森林で、切りだされた木材は輸出されている。不幸にも、林産業から上がる利益の多くはそれを経営している外国の大企業にいってしまう。もし自国民がこの利益の分け前を得たいなら、企業を接収し、自分たちで経営しなければならないだろう。そのためには資金が要るし、また、増加する農業以外の労働者を養うために、農業の効率化をはからなければならない。

ここで読者は、「林産業を発展させるために必要な資金探し」か「農業の改善に手をつける」かのどちらかを選択することになります。
うーん、むずかしい。
このように、要所要所でどんな政策を実行するか選択し、物語を進めていくわけです。同じ箇所をループしたり、早ければ10分ほどでクリアできてしまったりと難点もありますが、なかなか斬新なゲームブックといえるのではないでしょうか。


★参考情報
『君ならどうする 食糧問題』(社会思想社
著/M・アラビー  翻訳/河合良 近藤和子
初版発行/1987年4月
アマゾンの中古最低価格 297円(2012年6月5日現在)