『落下する幻想風景』
今日のゲームブックは、『ゲームブック 落下する幻想風景』(著・秋山真琴)。
2014年12月に出た電子書籍で、幻想的な雰囲気がただよう短編ゲームブックです。
【内容紹介】
墜落という無慈悲なる死! しかし〈君〉の選択によっては物語の結末は安らかになるだろう。
『世界再生の書物と一つの楽園』や『反理想郷にさよならを』の秋山真琴が挑む新境地は、読み手の選択によって結末が変わるゲームブック。電子書籍化を前提にシンプルにまとめた約60パラグラフのSFファンタジー。
(amazonでの紹介文を転載)
時空(?)を落下していく主人公の視点を通して物語は進んでいきます。
特徴的なのは、パラグラフ「1」から始まる通常のゲームブックとは異なり、「99」からスタートすること。パラグラフの番号は読み進むにつれ減っていき、「1」、そして「0」のエンディングへと収束していきます。
短編ゲームブックの制作には、限られた文章量の中に、いかにして情報やゲーム要素を盛り込めるかという難しさがありますが、それを逆手に取った本作品のギミックは、内容ともマッチしていて見事でした。
これまで、商業同人問わずいろいろなゲームブックに接してきましたが、「感心」することは多々あれど、「悔しさ」を感じることはありませんでした。
でも数年前にこの作品を初めて読んだときは、「うわ、やられた」という感情が、正直ちょっとありましたね。
ゲームブックというよりも、実験的な小説という側面が強いかもしれませんが、個人的にとても好きな作品です。
★参考情報
『ゲームブック 落下する幻想風景 Kindle版』(雲上回廊)
著/秋山 真琴
発売日/2014年12月17日
価格/99円
推定ページ数/20
パラグラフ数/約60
『護国記』その2
『護国記』その1
というわけで、今日のゲームブックは『護国記』(著・波刀風賢治)。2018年10月に出た作品です。
【内容紹介】
一大叙事詩とも言える大長編ゲームブック。
剣と魔法が支配する“高ツ原五国”を舞台にした王道ファンタジーだが、そんなありきたりな表現で終わらせてはいけない破天荒な問題作。これまでインディーズで数十作品のゲームブックを書き上げてきた21世紀のゲームブック作家の一翼たる筆者が、構想10年、執筆に丸2年をかけて完成させた会心の一本をひっさげ、幻想迷宮書店に殴り込みをかけた。
読者であるあなたは、何の力もない一介の文官ライゼ=インカルナの目を通して、人間なら誰でも持つであろう感情をもとに当たり前に行動する主人公に共感し、場合によってはあまりにも身の丈に合わない世界の危機に直面することになる。
幸運にも、物語の深淵に到達することができたなら、あなたは通常のゲームブックではありえないほどの深い没入感を体感できるだろう。
『護国記』(幻想迷宮書店)
著/波刀風 賢治
発売日/2018年10月21日
価格/500円
推定ページ数/2936
パラグラフ数/不明
昔のゲームブック
しかしながら、ゲームブックがブームだった時代は、ほんの数年。東京創元社に当時在籍していた方と、昨年話をする機会があったのですが、「ゲームブック? ああ、そういうのもありましたねえ」という感じであまり印象に残っていないご様子でした。まあ、30年も経てばそうですよね。
なお、社会思想社のほうは、ゲームブックブームの終焉後、ほどなくして倒産しています。